犬の困った、ワン!ポイントアドバイス—④

引っ張らないお散歩を目指して

行動分析学的に見たその理由は、「行動の結果いいことが起きている」か、「行動の結果嫌なことがなくなっている」から。

で、街中で見かける「引っ張っている犬」のほとんどは前者(引っ張ると飼い主がついてきてくれて、結果的に行きたいとこに行けている)。

胴輪と伸縮リードは、そうした引っ張るという結果を生み出しやすい道具。

そして困った行動の改善には、その「困った行動体験させない」一方で、「好ましい行動を教えていく」。

などといったことを前回はお話ししたわけですが、では具体的にどうしたらいいのか、を今回は・・・・・・

困った行動体験させない=引っ張る犬について行かない

「行動の結果、いいことが起きない(いいことがなくなる)行動の頻度は減っていく」。

これまた、科学的に理論付けられている真実です。

であれば、犬が行きたがっている(引っ張っている)方向にはついていかないことです。

歩く方向も、スピードも飼い主が決める。

さらに、次は「あそこまで」と数メーターから20〜30メーター先に目標を定め、そこまで犬に付き合わずに歩くこと。「あそこまで」という目標まで来たら、フードを握りこんだ手で誘導し犬の鼻先をご自身の顔の方に向けさせる(見上げるように誘導する)。

歩き出しのルールも決めます。
フードを握りこんだ手で誘導し見上げるのを確認し、あらかじめ決めておいた歩きだしの合図を発して、歩き出す。

匂いかぎを許す場所も決めます。
匂いかぎは、見上げるよう誘導し、こちらもあらかじめ決めておいた匂いかぎを許す合図を発してから、許す。 実際こうしたメリハリのついたお散歩を行っていると、犬の引っ張りはどんどんと軽減していくのがわかります。

匂いかぎが全くできないのは犬にとってストレス。
変なものが落ちない場所、排泄しても他人の迷惑にならない場所で、匂いかぎは許す

好ましい行動を教える=そのイチ
「見上げて歩くことを教える」

犬は見ている方向に引っ張ります。

もし鼻先をあなたの顔の方に向けて犬が歩いているなら、犬はあなたのことを引っ張ってはいないはずです。

前段のメリハリの効いたお散歩ができるようになってきたら、 次は「あそこまで」と決めた目標の地点で、見上げるように誘導しフードをあげずに立ち位置を変える、という練習をしていきます(立ち位置を変えたら誘導せずに自発的に見上げるまではフードをあげない、見上げたらフードをあげる)。

立ち位置をランダムに変えても、犬が視線を外さないようになってきたら、歩き出すトレーニングに移行します(上記トレーニングの「立ち位置を変える」を「1〜2歩前進する」に読み替える)。

歩き出すと当初は、ほとんどの犬が鼻先の向きを前方に向けますが、トレーニングを積み重ねることで、やがて犬は見上げたまま歩き続けることができるようになっていきます。

見上げて歩ける犬は、引っ張らないばかりか、周囲への吠え、拾い食いもしない。
他犬とのすれ違いも上手にできる

好ましい行動を教える=その二
「リードを弛ませて歩くことを教える」

ここで問題。何故お散歩をさせる必要があるのか?

運動のため? 確かにそれもありますが、それ以上に重要なことがあります。それは、「五感を刺激して脳を刺激させるため」、です。

ずっと見上げて歩かせていたら、この脳を刺激するということが十分にできません。

そこで、もう一つの歩き方「リードを弛ませて歩く」を教える。

こちらのトレーニングは確実にそこに行きたがっている、という場所1カ所で行います(いつものお散歩コース全体でやろうとしたら何時間たってもお散歩から帰ってこれませんので・・・)。

行きたがっている場所5メーター程度手前から、 引っ張ったら止まる(いいことを出さない)リードを弛ませたら進む(いいことを起こす)、を徹底します。

最初はその5メーターを進むのに何分もかかるかもしれません。でも引っ張ってもいいことが起きない、リードを弛ませるといいことが起きる(=行きたい場所に行ける)ということがわかってくれば、やがてリードを弛ませながらその5メーターが歩けるようになっていきます。

1カ所できるようになれば外の場所でのわかりも早くなります。こちらもトレーニングを積み重ねることで、やがてどこでもリードを弛ませて歩けるようになっていきます。

「見上げて歩く」は、例えば他犬とのすれ違い、落ちているものを無視させたい、
犬とコミュニケーションを取りたい、など必要な時にできることが重要

共生をめざして飼われている犬のお散歩は「その二」の歩き方を主体とし、いざという時に「そのイチ」の歩き方ができればいい。

とはいえ、どちらもゼロからのトレーニングであれば、理想的な形になるまでには何ヶ月もかかります。

子供達に対する教育と同じ。因数分解を理解させるためには、数の数え方から教えないといけません。
足し算、引き算、掛け算・・・と8〜9年かけて理解させていく。

もっとも教え方が分からなければ、教えることはできません。

犬に何かを教える。その教え方を学びたいのであれば、ぜひお教室にお越しください。ご安心ください、人間の教育のように何年もかかりませんよ。数か月もあれば、引っ張らずに、いざというときには見上げて歩けるように、教えていけますから。



ワンちゃんのしつけでお困りの方、ぜひ私たちに声をおかけ下さい


東京にある犬のしつけ教室「 Can ! Do ! Pet Dog School 」は、犬の行動学、行動心理、学習の心理学、行動分析学、さらには脳科学に基づいた最新のトレーニング(子犬のしつけ、成犬のしつけ直し、問題行動の改善)方法を追究している、家庭犬のためのしつけ方教室です。

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