犬の困った、ワン！ポイントアドバイス—⑤

引っ張り軽減効果も実は高い、
ジェントルリーダーの方が高い

回転の中心を支点、力を加える点を力点、そして力点が中心から遠い位置にある方が少ない力で回転が始まる（回転モーメントに関する原理）。

EWH、GL、いずれも進行方向に対して横方向の向きが働きます。これは犬の重心を支点に、前者は胸先が力点、後者は鼻先を力点（実際は鼻先よりも後方だが胸先よりも前の位置）とし回転運動が生じる。それと同じと考えることができます。

犬の重心は、肩甲骨の下角と呼ばれる部位近くに位置します。

そこを支点とした力点はGLの方がEWHよりも遠いので、同じ横方向への力はGLの方がより小さい力で生じ、その結果、引っ張り軽減効果もよりGLの方が期待できるということです。

ちなみに、装着に関してGLはEWHよりも慣れを必要とする部分があります。見た目も、EWHは普通の胴輪とそれほど変わらないのですが、GLは見た目が口輪っぽい。それと、GLは鼻ぺちゃの犬には装着できない。

まぁ、吠えを伴った突進がないのであれば、まずはEWHから試してみるのがよろしいかと。

ただ、EWH、GLを装着したからといって飼い主を見上げて歩くようになるわけでありません。単純に物理的に引っ張りを軽減しているに過ぎません。

過去のコラムでお話ししているように、飼い主を見上げて歩ける犬は引っ張らない、拾い食いもしない、他犬とのすれ違いも上手にできる、かつそうした犬および飼い主ともに幸せ度が高い。ですから、EWHやGLの力を借りながら飼い主を見上げて歩けるようトレーニングを行う必要はあります。

あっ、そうそう、EWH、GLともに残念ながらペットショップで置いているところは極めて少ない、
ということも補足しておきましょう（胴輪と伸縮リードを買ってもらいたいわけですから）。
でもご安心ください。ネットで検索すればいくらでもヒットしますから。